何が描かれているか
幼子キリストを抱く聖母の前で、最年長の王が冠を地面に置き、ひざまずいて幼子を抱き上げる。後ろの二王は贈り物を持って待ち、ヨセフは驚くように手を上げる。
奥では羊飼いが天使の知らせを聞き、牛とロバも幼子の方向を見る。東方三博士の礼拝と羊飼いへの告知という別の時点を、小さな画面の前後へまとめている。
作品の見どころ
老王と幼子の接触が場面の中心である。身分を示す冠を外し、顔を近づける動作によって、遠国の王が幼子を礼拝する意味を説明文なしで見せる。
人物の重なりと、少し下から見上げた小屋が浅い舞台のような空間をつくる。金地が残っていても、前景、中景、背景の出来事を順に読むことができる。
制作背景
メトロポリタン美術館は1320年頃の作品として所蔵する。キリストの生涯を描いた複数の小板絵の一枚で、元の設置場所や完全な構成には不明な点が残る。
ジョットへの帰属には工房の関与を含む研究上の議論があるため、一人だけの筆跡を断定しない。作品を見るうえでは、簡潔な空間と人間らしい接触が物語を近く感じさせる点が重要である。