何が描かれているか
赤い腰布の女性が幼子を肩に乗せ、二人の女性が手を合わせる。左には黄色い翼の天使が立ち、背景に山と植物が広がる。
題名はタヒチ語でマリアへの挨拶を表す。キリスト教の聖母子と受胎告知後の礼拝を、タヒチの人物像へ重ねた。母子の頭上の光輪、祈る手、天使の翼を順に探すと、西洋の宗教画に由来する目印が見つかる。
作品の見どころ
赤、黄、緑、青を大きな面で並べ、影を細かく描かなくても強い光を感じさせる。
西洋の宗教画、日本の版画、タヒチで見た衣服や植物など、異なる要素が一つの画面に組み直されている。人物を上下に重ねた配置と平らな色面によって、遠近法の深さより、画面を読む順序が強調されている。
制作背景
1891年、ゴーギャンが最初にタヒチへ渡った年の作品。当時のタヒチはフランス植民地で、キリスト教宣教も進んでいた。
現在はメトロポリタン美術館所蔵。現地の信仰をそのまま描いたのではなく、画家が複数の文化を選び直して作った像である。植民地下で出会った人や風景を用いながら、西洋やアジアの図像も重ねた画家自身の再構成として見る。