何が描かれているか
濃い緑の上着と杖を持つ男性が岩の頂に立ち、霧から突き出る山々を見る。
人物は背中を向けているため、表情も、正確に何を見ているかも分からない。男性の両脚は岩の上で開き、杖が身体の横へ細い斜線を作る。霧は谷や山の根元を隠し、尖った峰だけを島のように浮かばせている。
作品の見どころ
旅人の位置は高いが、さらに広い霧と山に囲まれ、征服者とも小さな観察者とも見える。
鑑賞者は後ろ姿の人物と同じ方向へ視線を運び、自分がその場に立つ感覚を得る。手前の岩は濃く輪郭も明瞭だが、遠い山ほど青灰色に薄れる。人物の肩と頭が明るい霧へ重なるため、まず背中へ目が止まり、そこから左右の景色へ広がる。
制作背景
1817年頃の作とされる。ハンブルク美術館はこの作品をフリードリヒの代表作として1970年に収蔵した。
所蔵館は旅人のモデルを特定できる確かな証拠はないとしており、人物の身元は断定できない。後ろ姿の人物は、鑑賞者の代わりに景色を見る案内役として働く。ただし、その姿勢だけから達成感、孤独、支配といった感情のどれか一つを画家の意図として決めることはできない。
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この画家について本で読む
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
ヴェルナー・ブッシュ 著/杉山あかね 訳 / 三元社
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