夕日に照らされた山上の十字架で、風景画と宗教画の境界を揺さぶった。
何が描かれているか
岩山の頂に十字架が立ち、キリストの体へ低い太陽の光が当たる。
山腹には常緑樹が伸び、空は黄から青へ静かに変わる。岩山は画面下から中央へ三角形にせり上がり、その左右を細い樹木が囲む。十字架の背後から広がる光線まで追うと、空と山頂が一つの焦点へ集まる構成が分かる。空の色は上ほど冷たい青へ移る。
作品の見どころ
十字架を近くから見上げる構図により、山そのものが祭壇のように感じられる。
人物をほとんど描かず、光、岩、樹木に宗教画の役割を担わせている。幹と十字架の垂直線に対し、斜面と光線は斜めに広がっている。遠い景色を横へ眺める風景ではなく、視線を下から上へ運ばせる縦方向の力が強い。
制作背景
1807〜1808年頃に制作され、ボヘミアのテッチェン城礼拝堂のための祭壇画として知られる。
風景画を宗教的な祭壇画に用いたことは当時議論を呼び、フリードリヒは自然の要素に込めた意味を説明した。自然の中へ十字架を置いた事実と、岩や樹木の意味を一つに決めることは別である。論争時の画家の説明を手掛かりにしつつ、現在の画面から受ける印象まで固定しない。
出典・画像について
画像:Caspar David Friedrich《山上の十字架(テッチェン祭壇画)》/山上の十字架(テッチェン祭壇画) — Caspar David Friedrich / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
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