木々に囲まれた庭で、ピンクの服の女性がぶらんこに揺れる。靴が宙へ飛び、茂みの男性は彼女を見上げる。軽やかな色と斜めの動きに、秘密の恋を思わせる仕掛けを重ねた、ロココ絵画の代表作だ。
何が描かれているか
女性の身体とスカートが前へ浮き上がり、片方の靴が左上へ飛ぶ。左の茂みには見上げる若い男性がおり、右奥では別の男性が綱を引く。人物の関係は、顔だけでなく位置の違いによっても示されている。
左には口元に指を当てる愛の神の彫像がある。秘密を守るようなその姿が、男女のやり取りをいっそう意味ありげにする。ただし、綱を引く人物を女性の夫だと断定することはできない。
作品の見どころ
まずピンクの服から飛ぶ靴へ、その先の彫像へと目を動かしてみよう。次にぶらんこの綱をたどると、女性を支える別の方向の線が見つかる。交差する斜線が、揺れの軽快さをつくっている。
ロココは、18世紀のフランスで広まった、曲線や軽やかな色、親密な題材を好む美術の傾向。ここでは葉の曲がり方や服のひだまで動きに加わり、庭全体が人物を包む舞台のように見える。
制作背景
ウォレス・コレクションは1767〜1768年頃の制作とする。当時の記録には、ある紳士が恋人をぶらんこに乗せた絵を求めたという話があるが、注文主の名前が確実に分かっているわけではない。
明るく楽しい場面であると同時に、見る側と見られる側の関係も巧みに組み立てられている。細かい象徴をすべて解読しなくても、誰が誰を見ているかをたどるだけで、絵の仕掛けに近づける。