プシュケが、クピドからの贈り物に囲まれて姉たちを迎える。豪華な室内には人も物もあふれるが、豊かさを見せるだけの場面ではない。姉妹の間に生まれる嫉妬が、神話の物語を先へ動かしていく。
何が描かれているか
右側の寝台にもたれるプシュケのまわりに、侍女やさまざまな品物が集まっている。左には訪ねてきた二人の姉が立つ。柱、大きな布、金属の器が、普段の暮らしとは違う宮殿の豊かさを示している。
愛の神クピドとプシュケの物語を描いた絵。所蔵館は、上方の蛇を伴う人物を嫉妬の表現として説明している。人の感情を目に見える姿にする、寓意という美術の方法が使われている。
作品の見どころ
白い衣から左の黄色い服へ、さらに上の明るい空へと目を動かしてみよう。人物や布が斜めに連なり、室内の場面でも画面全体に大きな動きがある。贈り物の細部は、その流れを見てから探すと分かりやすい。
大きな建築に比べ、人の肌や布は柔らかく光る。硬い柱と軽い身ぶり、豪華な贈り物と落ち着かない人間関係を見比べると、華やかさの内側にある緊張にも気づける。
制作背景
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは1753年の作品とする。古代の物語を受け継いだラ・フォンテーヌの再話との関係が指摘される。フラゴナールがまだ若い時期に手がけた、大きな神話画である。
カンヴァスは過去に上側と左側を切り詰められており、最初の構図のままではない。ここでは現在残る絵の全景を掲載している。画面の端で形が途切れる部分は、サイト上での切り抜きとは区別して見たい。