何が描かれているか
白い服の女性が庭の低い位置に座り、片腕を伸ばしている。右には赤い服の男性が塀を越える姿が見える。二人の上には大きな彫像と木々がそびえ、人の身ぶりと庭園の広さが対照をなす。
この場面は《恋の成り行き》の主要な四枚の一つで、花を差し出す求愛の場面から、二人が会う場面へと関係が進む。実在の恋人の出来事をそのまま記録した絵だとは説明しない。
作品の見どころ
女性の白い服と男性の赤い服は、緑の茂みの中で離れていても見つけやすい。二人の顔や腕の方向を結んでみると、空間を隔てた小さなやり取りが画面の中心になっていることが分かる。
上へ伸びる木や彫像は堂々としているが、下の人物は落ち着かない姿勢を取る。この大きさと身ぶりの違いが、静かな庭に一瞬の気配を生む。誰かを気にしているようにも見えるが、物語を細部まで決めすぎずに眺めたい。
制作背景
デュ・バリー夫人の注文による連作で、1771〜1772年頃の制作として紹介される。フリックが提供する紹介ページには1771〜1773年の表記もあり、厳密な完成年を一つに断定しない。
連作が返却された事情には複数の説がある。現在はフリック・コレクションの所蔵であり、当初の注文先に残っているわけではない。華やかな画面と、作品がたどったその後の道筋は分けて考えておきたい。