何が描かれているか
父なる神が、十字架から降ろされたキリストの身体を両腕で支える。白い鳩が頭上に浮かび、周囲の天使たちは悲しむような身ぶりを見せる。
父、子、聖霊を一つの場面で表す聖三位一体の図。教義を図解するだけでなく、亡くなった身体の重さを前面に出している。中央の白い身体へ周囲の手が集まり、悲しむ天使たちまで一つの塊として見える。
作品の見どころ
キリストの曲がった腕と脚を追うと、身体が一つの直線ではなく、画面の中で大きく折れていることが分かる。安定よりも痛みと支える力を感じさせる。
黄、青、赤、白の衣が暗い背景に並ぶ。強い色を人物ごとに置くことで、混み合う天使たちの中でも中心の身体を見失いにくい。父なる神の支える腕と、力の抜けたキリストの手足を比べると、重さの表現がよく分かる。
制作背景
《聖母被昇天》と同じサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ修道院の祭壇画群のため、1577〜1579年に描かれた。
現在はプラド美術館所蔵。単独の美術館展示だけでなく、もとは祭壇の高い位置から礼拝者へ見せる作品だった点を押さえたい。元の高さを考えると、細部だけでなく、下から見上げても読める大きな色と輪郭が重要になる。