1822年
24歳頃

ダンテの小舟

画家 ウジェーヌ・ドラクロワ
La Barque de Dante / ルーヴル美術館
小舟にしがみつく亡者、荒れる水、遠くの炎。文学の場面を、身体と色の激しい動きへ変えた若いドラクロワの出発点だ。

何が描かれているか

赤い頭巾の詩人ダンテと、青い衣の案内役ウェルギリウスが小舟に立つ。水中の亡者たちは船へしがみつき、遠くでは地獄の都市が燃える。
ダンテの文学『神曲』から、二人が地獄の川を渡る場面を描く。実際の航海ではなく、詩の中の恐怖と混乱を絵にした。舟の縁を境に、立つ二人と水へ沈む人々が上下に分かれ、同じ揺れへ巻き込まれている。

作品の見どころ

舟を斜めに横切る身体と、波の白い反射を追おう。安定した水平線より、揺れと衝突が画面を支配する。
亡者の肌には赤、緑、青の反射が置かれる。物の固有色だけでなく、隣り合う色によって濡れた身体や不気味な光を作っている。赤い頭巾を起点に青い衣、肌の反射、遠い炎へ進むと、暗い画面の色の道筋を追える。

制作背景

1822年のサロンへ出品され、若いドラクロワの出発作となった。題名は《ダンテの小舟》のほか《地獄のダンテとウェルギリウス》とも呼ばれる。
現在はルーヴル美術館所蔵。文学の内容を順番に図解するより、一場面の身体と色で読む人の想像を強くする作品である。文学を知っているかにかかわらず、舟の不安定さと身体のぶつかり合いから場面へ入れる構成である。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ルーヴル美術館
目録番号
INV 3820

出典・画像について

出典:ルーヴル美術館 作品記録2026-09-11 確認)
画像:Eugène Delacroixダンテの小舟》/ダンテの小舟 — Eugène Delacroix / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
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