何が描かれているか
馬に乗る十字軍の兵士たちがコンスタンティノープルへ入る。手前では倒れた住民や助けを求める人々が広がり、遠景に海と都市が見える。
1204年の第4回十字軍による都市占領を題材にする。勝者の行進だけでなく、征服される側の被害も大きく描かれる。馬上の一団は画面上部へ集まり、助けを求める住民は手前の地面へ広く押し出されている。
作品の見どころ
高い馬上の人物と、地面に伏す人々の高さを比べよう。同じ画面の上下が、そのまま力の差として見えてくる。
旗、槍、建物の縦線に対し、倒れた身体は斜めに重なる。秩序ある入城と混乱する地上が一つの景色に共存する。旗や甲冑の輝きから倒れた人物へ目を下ろすと、勝者の壮麗さと征服の被害が同時に見える。
制作背景
ヴェルサイユ宮殿の歴史画ギャラリーのため注文され、1840年に完成した。国家の歴史を見せる場所の作品だが、単純な勝利だけを祝う画面ではない。
現在はルーヴル美術館所蔵。十字軍の指導者名や事件の細部より、勝利の像と苦しむ人々をどう並べたかに注目したい。注文先の目的を踏まえても、作品が勝利だけを単純に称えるとは限らず、画面上の対比から慎重に読む。