何が描かれているか
女性が赤い飾りの帽子を手にし、手前の台には色や形の異なる帽子が並ぶ。人物の顔は帽子に隠れ、手の動きが中心になる。
女性が店員か客かは確定していない。帽子を作る作業と選ぶ行為のどちらにも見える。手前の帽子は画面の縁で切れ、店の棚をのぞき込むような近さを作る一方、人物の顔は遠ざけられる。
作品の見どころ
帽子が手前へ大きくせり出し、人物はその後ろに置かれる。商品と人の大きさの関係が、普通の肖像画とは逆になっている。
赤、黄、青、白の帽子が円形を繰り返す。描き直しを含む複雑な制作過程も表面に残る。赤い羽飾りへ伸びる手を中心に見ると、帽子を選ぶ場面にも、仕上げる作業にも解釈できる曖昧さが残る。
制作背景
1879年頃に始まり、1886年頃まで手が加えられた。帽子店は19世紀パリで女性の労働と消費が交わる場所だった。
現在はシカゴ美術館所蔵。華やかな商品だけでなく、働く手や顔の隠れ方を見ると、都市生活の別の面が見える。制作年に幅があるのは長く手を加えたためで、特定の一日を写した場面として年代を狭めない。