何が描かれているか
二人の踊り子が背を向け、壁のバーへ片足を上げて身体を伸ばす。左下には稽古場の床を湿らせるためのじょうろが置かれる。
舞台の公演ではなく、身体を整える日常的な練習の場面である。踊り子の上半身は画面上部へ寄り、長く伸びた脚と広い壁面が稽古の姿勢をいっそう際立たせる。
作品の見どころ
二人の上げた脚、白い衣装、赤い飾りがほぼ左右対称に繰り返される。完全な鏡写しではなく、腕や身体の傾きが少しずつ違う。
余白の多い壁と小さなじょうろによって、踊り子の身体が仕事場の一部として見えてくる。じょうろの丸い形は小さいが、白い衣装とは異なる日用品として、理想化された舞台像に現実味を加える。
制作背景
1877年頃の作品。油彩に加え、パステルなど複数の画材を使い、表面を何度も調整した。
現在はメトロポリタン美術館所蔵。館の記録では支持体と画材が複合的なため、単純に『油彩画』だけとは表記しない。複数の画材と修正の跡は、軽い一瞬のように見える構図が、繰り返し調整された結果だと伝える。