何が描かれているか
中央で一人の踊り子が動きを見せ、杖を持つ教師ジュール・ペロが見守る。周囲の少女たちは踊る順番を待ち、服を直し、休む。
オペラ座の稽古場を題材にするが、この配置を一瞬で写したのではなく、多くの素描をもとに組み立てている。教師の杖と中央の踊り子を軸にしながら、周囲では背を向ける、座る、話すなど別々の時間が進む。
作品の見どころ
床板の斜線が奥へ進み、壁際の踊り子まで視線を運ぶ。中央だけでなく、端で身体を伸ばす人や座る人を順に見てみよう。
白いチュチュは同じ形ではなく、姿勢ごとに折れ方が変わる。華やかな衣装の下に、待機と反復練習が見える。床板、壁の柱、天井近くの線が奥へ向かうため、人数の多い稽古場でも視線が迷いにくい。
制作背景
1874年に制作。ドガは舞台上の完成した踊りだけでなく、稽古、舞台袖、休憩という仕事の時間を繰り返し描いた。
現在はメトロポリタン美術館所蔵。同年に始まった印象派展へ参加したが、戸外制作より素描と室内の構成を重視した。印象派展の参加者であっても制作方法は一様ではなく、ドガの素描と再構成を重んじる姿勢がよく表れる。