何が描かれているか
黒い服の母ラウラと二人の娘が立ち、父ジェンナーロは右端の椅子で横を向く。壁には亡くなった祖父の肖像が掛かる。
描かれたのはドガの叔母一家。家族全員が同じ方向を見る記念写真のような肖像ではない。娘の一人は母に寄り添い、もう一人は中央で片足を曲げるため、整列した家族像にはならない。
作品の見どころ
母と娘たちのまとまりに対し、父は家具と画面端に隔てられる。人物同士の距離が、そのまま家庭内の緊張を感じさせる。
鏡、暖炉、机、床の斜線が複数の奥行きを作る。落ち着いた黒い服の中で、娘たちの白いエプロンが強く浮かぶ。壁の肖像、鏡に映る室内、手前の机を順に見ると、一つの部屋に複数の距離が折り重なっている。
制作背景
1858年から1869年頃にかけ、イタリアでの素描とパリでの制作を重ねて完成したとされる。若いドガが古典的な大画面と現代の家族を結びつけた。
現在はオルセー美術館所蔵。題名と制作期間は館の記録に従い、単年の作品とはしない。長い制作期間を残すことで、家族の一瞬をその場で写したのではなく、素描を重ねた構成だと理解できる。