何が描かれているか
寝台のソクラテスは上を指しながら、毒杯へ手を伸ばす。周囲の弟子たちは顔を覆い、背を向け、身体を曲げて嘆く。
不当な判決を受けても信念を曲げず、毒を飲む哲学者の最期を描く。弟子プラトンは実際には若かったが、画面左に老いた姿で置かれている。寝台の端に座る老いた人物と、中央で立つソクラテスの対照が、別れの時間を二重に見せる。
作品の見どころ
まっすぐ上がる指と、下へ沈む弟子たちの身体を見比べよう。ソクラテスの理性と、周囲の感情が異なる方向で示される。
赤、白、青の布は人物を分け、手の動きを見やすくする。杯を渡す若者が顔を背けることで、小さな動作にもためらいが出る。上を指す手から毒杯へ視線を下ろすと、思想を示す身振りと死をもたらす物が一本につながる。
制作背景
1787年作。古代の物語を、公開の場で見る人が徳や信念について考える歴史画として構成した。
現在はメトロポリタン美術館所蔵。館の公開APIと作品記録で、作者、年、支持体、公開領域画像を確認した。古代の出来事の復元図ではなく、徳と感情を鑑賞者へ分かりやすく示すよう再構成された場面である。