何が描かれているか
暗い海から厚い波が立ち上がり、白い飛沫が崩れ始める。
低い水平線の上には、青灰色と褐色の重い雲が広がる。手前には濡れた砂と黒い岩が低く残り、そのすぐ奥で波が壁のように持ち上がる。白い泡は細かな飛沫へほどけるが、波の青緑と褐色は厚い塊として重く見える。
作品の見どころ
波の形を細い線で写さず、厚い絵具の盛り上がりで水の重さを作る。
空と海を大きな色面に絞り、人や船を置かず自然の力だけを見せる。絵具を盛り、削るような跡が水面と雲の動きを直接作る。水平線を低くして暗い雲を広げたため、波は一瞬で崩れる形でありながら、画面全体を押す固い物質のようにも感じられる。
制作背景
1869〜1870年作。クールベはノルマンディー海岸で波を繰り返し描いた。
現在はベルリンの旧国立美術館所蔵。同じ主題の別作品が複数あるため、所蔵版と画像を区別した。クールベは同時期に波を繰り返し描いており、題名が同じ作品も複数ある。ここではベルリン所蔵版の画像と年代を基準にし、別の海景の細部や来歴を混ぜない。