1873年
54歳頃

画家 ギュスターヴ・クールベ
La Truite / オルセー美術館
釣り上げられてなお動く鱒を、荒い絵具と暗い色で描いた晩年作。投獄後の画家自身を重ねる解釈も所蔵館が示している。

何が描かれているか

釣り針にかかった大きな鱒が暗い岸辺で横たわり、まだ口を開けている。
濡れた身体、草、水の暗がりが近い色で重なる。鱒の口には糸と針が残り、えらの赤と白い腹が暗い水辺から浮かぶ。身体は横たわっていても尾や口には緊張があり、食卓に整えられた魚ではなく、捕らえられた直後の状態を示す。

作品の見どころ

魚の鱗を整然と描かず、厚く粗い絵具で傷ついた身体の重さを伝える。
白い腹と赤いえらを暗い背景へ浮かべ、静物画せいぶつがを劇的な場面へ変える。鱗の反射は一枚ずつ均一に描かれず、銀、緑、褐色かっしょくの厚い絵具がこすれ合う。魚の長い身体を画面いっぱいに置き、周囲を暗く狭めることで、静物画に抵抗するような力を与える。

制作背景

1873年作。1871年のパリ・コミューン後に6か月投獄された時期を経て、故郷で魚の静物画を複数描いた。
現在はオルセー美術館所蔵。同館は捕らえられた魚へ画家自身を重ねる解釈を示すが、唯一の意味と断定しない。投獄後の状況と結びつけ、魚を画家自身の比喩とする読みをオルセー美術館も紹介している。ただし、それは有力な解釈であり、魚の姿が一つの伝記的意味だけを表すと断定しない。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
オルセー美術館
目録番号
RF 1978 15

出典・画像について

出典:オルセー美術館 作品記録・解説2026-09-12 確認)
画像:Gustave Courbet》/鱒 — Gustave Courbet / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-12 確認)
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