何が描かれているか
帽子と黒い外套を着た若いクールベが、岩の上で黒い犬とこちらを見る。
背後には谷と明るい空が広がり、手前に本や杖が置かれる。クールベは片脚を岩に伸ばし、片手にパイプを持つ。そばの本と杖、黒い犬、山道という品々が、正装した室内肖像ではなく旅の途中に休む若い画家という設定を作る。
作品の見どころ
人物を室内の正式な肖像から外し、自然の中を歩く自由な旅人のように見せる。
暗い服と犬を一つの大きな形にし、顔と空の明るさを強調する。人物はやや下から見上げる位置に置かれ、帽子のつばの下から鑑賞者をまっすぐ見る。黒い外套と犬が岩の暗部へつながる一方、顔と手は明るい空を背にくっきり現れる。
制作背景
1842〜1844年頃の自画像で、1844年のサロンに受理された。
現在はパリ市立プティ・パレ所蔵。若いクールベが公の場へ初めて進出した作品として位置づけられる。自画像は実際の容姿の記録であると同時に、画家が公の場で自分をどう見せるかを組み立てる作品でもある。自由な旅人らしさを、本人の日常そのものと単純に同一視しない。