何が描かれているか
上半身の衣服を下ろした女性が立ったまま洗面台へかがみ、台の上の洗面器に手を伸ばす。
鏡には顔の一部が映り、床には葉模様の青い敷物と水差しがある。服の縞模様が背中の曲線に沿って曲がる。女性は浴槽に入っているのではなく、洗面台の前へ立って身体を曲げている。鏡の中の顔、背中、洗面器へ伸ばす手を順に見ると、ひと続きの動作が読み取れる。
作品の見どころ
肌の滑らかな面と、服や敷物の細かな模様を見比べたい。模様が重なる室内でも、明るい背中が人物の姿勢を伝えている。
細い線を刻むドライポイントと、色の濃淡を面で表すアクアチントを組み合わせた多色版画。油絵とは異なる線と平らな色の効果がある。上から見た敷物と水差しは平らな模様に近く、身体の丸みとは異なる見え方をする。線で囲む部分と色面で表す部分の差が、版画ならではの明快さを作る。
制作背景
1890〜1891年作。シカゴ美術館は、日本の多色木版画の研究を背景にした連作と説明している。
浮世絵から刺激を受けているが、同じ木版画ではなく銅版画の技法で制作した。刷りにはカサットと版画職人ルロワが携わった。日本の多色木版画から学んでも、技法まで同じではない。木版の表面をまねたと単純化せず、ドライポイントとアクアチントを使う銅版画として理解する。
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