1878〜1880年頃
34〜36歳頃

桟敷席

画家 メアリー・カサット
The Loge / ワシントン・ナショナル・ギャラリー
劇場の舞台ではなく、桟敷席で見る側の女性たちを描く。扇や曲線の背景が、社交の場で交わされる視線を包む。

何が描かれているか

二人の女性が、劇場で区切られた見物席である桟敷席に並んで座る。淡い色のドレスを着て、舞台のある画面の外へ目を向けている。
一人は花たばを膝に置き、もう一人は開いた扇で口元を覆う。二人は同じ方向を見ているが、花束を持つ手と扇で口元を隠す手は異なる。舞台を画面外へ置くことで、鑑賞者も女性たちと同じく見えない催しを想像する。

作品の見どころ

舞台を描かず、見る側の女性たちと、その視線が向かう画面外を主題にする。
扇、手すり、背景の曲線を重ね、華やかな社交空間を平らな形へまとめる。人物の淡い衣服に対し、背後の席や手すりは暗くまとめられる。扇と手すりの曲線をたどると、横長の画面に座る二人の距離と劇場の広がりが見える。

制作背景

1878〜1880年頃の作。カサットはこの時期、家庭に加えて劇場やオペラに集まる人々を繰り返し描いた。
顔だけでなく、扇で一部を隠す仕草や花束を持つ手を見ると、舞台を待つ人物たちの姿勢の違いが分かる。制作年は1878〜1880年頃とされ、特定の日の公演を記録した絵ではない。劇場という近代の社交空間で、女性が「見られる」だけでなく「見る」側にいる点に注目したい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
目録番号
1963.10.96

出典・画像について

画像:Mary Cassatt桟敷席》/桟敷席 — Mary Cassatt / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-12 確認)
CC0/Open Accessとして提供された画像です。
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