キリストの捕縛
The Taking of Christ / アイルランド国立美術館(ダブリン)
ユダの接吻を合図に、兵士たちがキリストを捕らえる。多くの人物が左右から押し合うように集まり、金属の甲冑、上げられた手、右端の灯火が暗闇から浮かぶ。広い風景ではなく、逃げ場のない人の密集が事件を伝える。
何が描かれているか
中央でユダがキリストへ顔を寄せ、兵士が金属の腕を伸ばす。左では人物が叫ぶように口を開けて逃れ、右端では灯火を持つ男が出来事をのぞき込む。接吻、逮捕、逃走という連続する動きが狭い横長画面へ圧縮されている。
右端の灯火を持つ人物は、所蔵館によってカラヴァッジョの自画像と説明される。ただし確実な同定ではないため、「自画像とされる人物」として扱う。
なぜ重要か
甲冑の硬い反射と、キリストの下げた顔、ユダの近い身体が対照を作る。強い照明で全員を見せるのではなく、金属、顔、手の一部だけを浮かべることで、混乱の中の要点を選んでいる。
右端の灯火は画中の光源として見えるが、画面全体を均等には照らさない。どこから光が来るかを完全に説明するより、光がどの顔と動作を読ませるかを見ると、物語の設計を理解しやすい。
制作背景
1602年の油彩・カンヴァスで、縦135.5センチ、横169.5センチ。《エマオの晩餐》と同じくチリアコ・マッテイのために描かれた。長く別の画家の作品と考えられていたが、1990年にダブリンのイエズス会施設で再発見された。
右端の自画像は所蔵館の説明です
灯火を持つ人物はカラヴァッジョの自画像とされますが、確実な同定としては扱いません。
出典:アイルランド国立美術館 作品ページ(2026-09-07 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:カラヴァッジョ《キリストの捕縛》/Caravaggio, The Taking of Christ, National Gallery of Ireland, via Wikimedia Commons.
忠実複製の扱いには法域差があります。
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