音楽家たち
The Musicians / メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
四人の若者が狭い画面に集まり、楽器や楽譜を手にしている。華やかな演奏会の最高潮ではなく、弦を整え、譜面を確かめる「始まる前」の時間を描いた作品である。まず、こちらへ向けられた視線と、手元へ落とされた視線を見比べたい。
何が描かれているか
若者たちは古風な衣をまとい、楽器と楽譜を囲んでいる。身体が互いに重なるため、整然と並んだ集合肖像ではなく、見る人も同じ小さな部屋へ入り込んだように感じられる。手、肩、楽器の曲線がつながり、人物の近さを強めている。
右から二人目の角笛を持つ人物は、所蔵館によってカラヴァッジョの自画像と説明されている。ただし、確実な同時代肖像と照合して本人だと証明されたわけではないため、「自画像とされる」と留保する。
なぜ重要か
音楽を、演奏の音そのものではなく、音を出す直前の動作で表した点が面白い。絵から音は聞こえないが、調弦や譜読みをする手を見ることで、次に鳴る音を想像できる。止まった絵の中へ時間を感じさせる仕組みである。
若者の肌、白い布、楽器へ光が当たり、背景は深い暗さに沈む。カラヴァッジョの明暗は、すべてを均等に見せる照明ではない。見るべき顔と手だけを選び、人物どうしの関係へ視線を集める。
制作背景
作品は1597年頃の油彩・カンヴァスで、縦92.1センチ、横118.4センチ。ローマ初期、デル・モンテ枢機卿の庇護を受けた時期の作品に位置づけられる。後の大きな宗教画へ進む前に、半身像を密集させて物語を作る方法を試した例として見られる。
画中の自画像は所蔵館の説明です
右から二人目の角笛を持つ人物はカラヴァッジョの自画像とされますが、確実な同定としては扱いません。
出典:メトロポリタン美術館 作品ページ(2026-09-07 確認)
画像はメトロポリタン美術館Open AccessのPublic Domain画像です。
画像:カラヴァッジョ《音楽家たち》/Caravaggio, The Musicians, The Metropolitan Museum of Art, via Wikimedia Commons.
メトロポリタン美術館のOpen Access作品画像です。
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