1610年
38〜39歳頃
聖ペテロの否認。兵士、女中、ペテロの三人が暗闇の前に集まり、指さす手と胸へ向けた手で問いと否定を表している。
聖ペテロの否認
The Denial of Saint Peter / メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
兵士、女中、ペテロの三人だけが暗闇の前に集まる。大勢の群衆や建物を描かず、指さす手と否定するようなペテロの手で、三度の否認を表す。まず人物の顔より、三本の指の向きを数えてみたい。
何が描かれているか
左の兵士、中央の女中、右のペテロが近い距離で向き合う。女中の二本の指と兵士の一本の指がペテロへ向けられ、所蔵館はこれを三度の否認を示す仕組みと説明している。ペテロは両手を自分の胸へ向け、戸惑いや拒絶を思わせる。
三人の身体の多くは暗闇に溶け、顔と手の一部だけが見える。光は細部をすべて説明せず、問う側と否定する側の関係だけを抜き出す。狭い画面の中で視線と指が交差する。
なぜ重要か
カラヴァッジョ最晩年の作品である。初期の果物や衣の細かな質感、大作の激しい群像とは異なり、少ない人物と小さな手ぶりへ物語を圧縮している。ただし、「確実に最後の一枚」とは断定しない。
題名を知らなくても、女中と兵士が一人を問い詰め、ペテロが身を守る場面として読める。そのうえで三本の指の意味を知ると、聖書の物語と目の前の身ぶりが結びつく。
制作背景
1610年の油彩ゆさい・カンヴァスで、縦94センチ、横125.4センチ。画家がポルト・エルコレで亡くなった年に制作された。生涯の出来事をそのまま画中人物の感情へ重ねるのではなく、晩年の構成と光の変化を画面から確かめたい。
最後の一枚とは断定しません
1610年に描かれた最晩年の作品ですが、画家が最後に完成させた作品だとは確定していません。
寸法
94 × 125.4 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
制作時期
最晩年
出典:メトロポリタン美術館 作品ページ2026-09-07 確認)
画像はメトロポリタン美術館Open AccessのCC0画像です。
画像:カラヴァッジョ聖ペテロの否認》/Caravaggio, The Denial of Saint Peter, The Metropolitan Museum of Art, CC0.
画像の出典 / CC0 1.0 / Met Open Access(画像情報:2026-09-07 確認)
メトロポリタン美術館のOpen Access画像です。
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