聖母の死
La Mort de la Vierge (The Death of the Virgin) / ルーヴル美術館(パリ)
赤い衣の聖母が低い寝台に横たわり、周囲の人々がうつむく。天へ昇る栄光の場面ではなく、近しい人を失った部屋の沈黙として描かれている。上部の大きな赤い布と、下で沈む人物たちを見比べたい。
何が描かれているか
聖母の身体は横長に置かれ、周囲の人物は立つ、座る、顔を覆うなど異なる姿勢で悲しむ。手前の女性は低く座り、身体を丸めている。人物どうしが目を合わせないため、同じ部屋にいながらそれぞれの悲しみに沈んで見える。
上部を覆う赤い布は、暗い室内で最も大きな色の面である。聖母の赤い衣と呼応し、視線を上から寝台へ戻す。明るい光は奇跡を派手に示すのではなく、亡くなった身体と周囲の顔へ静かに当たる。
なぜ重要か
聖母の死という宗教主題を、人間の死を見守る集まりとして近く描いた。理想化された美しさだけでなく、身体の重さと沈黙を示したことが、注文先で受け入れられなかった事実とも重なる。ただし、拒否理由を一つの逸話に決めつけない。
有名な「水死した娼婦をモデルにしたため拒否された」という話は、今回開いた所蔵館資料では確定できなかった。使える事実は、作品が教会のために注文され、完成後に聖職者側から拒否されたというところまでである。
制作背景
ラエルツィオ・ケルビーニが1601年、ローマのサンタ・マリア・デッラ・スカラ聖堂用に注文した。1605年末または1606年初めに完成した後、聖職者から拒否された。油彩・カンヴァスで、縦369センチ、横245センチの大きな作品である。
拒否の理由は一つに決められません
完成後に聖職者から拒否されましたが、水死した女性をモデルにしたためという逸話だけで理由を確定しません。
出典:ルーヴル美術館 作品ページ(2026-09-07 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:カラヴァッジョ《聖母の死》/Caravaggio, The Death of the Virgin, Musée du Louvre, via Wikimedia Commons.
忠実複製の扱いには法域差があります。
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