バッカス
Bacco (Bacchus) / ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
葡萄の葉を頭につけた若者が、こちらへワインの杯を差し出している。古代神話の酒の神でありながら、理想的な神像として遠くへ置かれてはいない。果物と酒を挟み、同じ卓へ誘う人物のように近く見える。
何が描かれているか
若者は白い布をまとい、片手に透明な杯を持つ。手前には果物と葡萄酒の容器が並び、人物と静物がほぼ同じ重さで扱われている。杯の縁、果物の皮、布の折れ目は、それぞれ異なる表面として描き分けられる。
杯を持つ手は鑑賞者の側へ伸びる。相手へ差し出す行為なのか、自分で飲む直前なのか、画面だけでは完全に決まらない。その曖昧さが、見る人を場面の外から眺めるだけの位置に置かない。
なぜ重要か
古代の神という遠い主題を、現実の若者と身近な食卓の感覚で見せた初期作品である。神話画であっても、カラヴァッジョが重視したのは、触れられそうな肌、果物、ガラス、布だったことが分かる。
果物やワインへ宗教的、医学的な意味を読む説はあるが、意味は一つに確定していない。象徴を先に当てはめるより、杯を差し出す手、熟した果物、若者の視線がどのような関係を作るか観察したい。
制作背景
1598年頃の油彩・カンヴァスで、縦95センチ、横85センチ。デル・モンテ枢機卿の庇護下にあったローマ初期の作品である。静物への注意と若者の半身像が一画面に組み合わされている。
出典:ウフィツィ美術館 作品ページ(2026-09-07 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製とイタリア文化財制度の扱いには法域差があります。
画像:カラヴァッジョ《バッカス》/Caravaggio, Bacchus, Uffizi Galleries, via Wikimedia Commons.
忠実複製とイタリア文化財制度の扱いには法域差があります。
間違いを見つけたら、教えてください →