何が描かれているか
広い丘陵を、兵士、農民、騎馬の人々を含む大群衆が右へ進む。中央近くでキリストが十字架を担い、地面に倒れている。
手前右では聖母とキリストに従う人々が悲しむ。遠い丘には車輪や絞首台が立ち、処刑の場所が日常の風景へ入り込む。行列の大きな弧と手前の人物群が別方向を向き、主役を見つけにくい広がりを意図的に作る。
作品の見どころ
主役のキリストを大きくせず、群衆の中へ小さく置く。見る人は題名を知っていても、画面を探さなければ事件を見つけられない。
高い視点と曲がる行列が、左から中央、右奥へ目を運ぶ。群衆を見ることと、一人の受難を見失うことが同時に起きる。中央の十字架を見つけた後で周囲の無関心な群衆へ目を広げると、事件を見失うという主題を体験できる。
制作背景
1564年制作。美術史美術館がGG 1025として所蔵する。
聖書時代の衣装だけでなく16世紀ネーデルラント風の人々を混ぜ、遠い出来事を同時代の社会へ引き寄せる。同時代風の風景や服装は物語を身近にするが、画面を特定の一事件の写実的記録とはみなさない。