1480年頃
34〜35歳頃
春(プリマヴェーラ)。暗い木立の前にヴィーナス、三美神、フローラなど古代神話の九人が並ぶ横長の画面。
春(プリマヴェーラ)
Primavera (Spring) / ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
暗い木立の前に、古代神話の九人が横一列のように現れる。右から始まる追跡と変身、中央の静かなヴィーナス、左の踊りと立ち去る動きが、別々の場面を一つにつないでいる。意味が完全には決まっていないからこそ、まず誰が何をしているかを右から順に追いたい。
何が描かれているか
右端では西風ゼピュロスがニンフのクロリスを追い、クロリスは花の女神フローラへ変わっていく。中央には愛の女神ヴィーナス、その上には目隠しをしたキューピッドがいる。左では三美神が輪になって踊り、伝令神メルクリウスが杖を空へ向けている。
背景の草花は単なる模様ではない。ウフィツィ美術館は、少なくとも42種類の植物を見分けられると説明している。フローラの衣からこぼれる花と地面の植物を見比べると、人物の物語と庭全体が同じ「春」の感覚を作っていることが分かる。
なぜ重要か
この絵は寓意画として読まれてきた。寓意画とは、愛、平和、季節の変化など、目に見えない考えを人物や物語の形で表す絵のこと。ウフィツィ美術館は愛、平和、繁栄などの意味を紹介するが、研究者の解釈は一つに一致していない。ここでは、唯一の正解を決める作品として扱わない。
大切なのは、意味が不明だから何も分からないのではなく、画面から確かめられることと解釈を分けることである。九人の配置、右側の変身、中央のヴィーナス、左側の踊りは見て確認できる。そこから全体を結ぶ意味を考える段階で、古代文学や当時の文化について複数の説が生まれる。
制作背景
15世紀末には、作品がロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチの相続人たちの所有物に含まれていたことが分かる。しかし、その所有記録だけで、最初から彼のために描かれたと証明できるわけではない。メディチ家との結びつきは重要だが、注文の事情には余白が残る。
技法はテンペラ・グラッサ、支持体は板で、縦207センチ、横319センチに達する。人物がほぼ人の大きさで並ぶ横長の画面である。スマートフォンでは全体が小さくなるため、全景で配置を見たあと、右・中央・左の三つに分けて拡大すると物語を追いやすい。
全体の意味は一つに決まっていません
ウフィツィ美術館は愛、平和、繁栄を祝う作品と説明しますが、複雑な寓意について研究者の解釈は一致していません。
寸法
207 × 319 cm
材質・技法
板にテンペラ・グラッサ
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
目録
1890 n. 8360
植物
少なくとも42種を識別
出典:ウフィツィ美術館 作品ページ2026-09-06 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:サンドロ・ボッティチェリ春(プリマヴェーラ)》/Sandro Botticelli, Primavera, Uffizi. Google Art Project, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-06 確認)
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