1480–1485年頃
34〜40歳頃
パラスとケンタウロス。長い武器を持つ女性が、弓を持つ半人半馬のケンタウロスの髪をつかんでいる。
パラスとケンタウロス
Pallade e il centauro (Pallas and the Centaur) / ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
武器を持つ女性が、半人半馬のケンタウロスの髪をつかんでいる。力ずくの戦闘というより、荒々しい存在が静かな人物に抑えられた瞬間に見える。ただし、女性が誰で何を意味するかには複数の説がある。まず、二人の視線、手の位置、身体の向きを比べたい。
何が描かれているか
右の女性は植物模様の衣をまとい、長い武器を手にしている。一般には知恵と戦いの女神パラス・アテナと呼ばれるが、古代ローマの女性戦士カミラとする説もある。題名に含まれる名前も、絶対に確定した人物名ではない。
左のケンタウロスは弓を持ち、女性に髪をつかまれて頭を下げる。人と馬が一体になったケンタウロスは、古代神話の存在である。二人の表情は激しい戦闘よりも、野性的な力が制御された状態を思わせる。
なぜ重要か
この作品は寓意画として、理性が本能を抑える姿などと解釈されてきた。しかし、その意味は画面に文章で書かれているわけではなく、女性とケンタウロスの対比から導かれた説明である。「女性=理性、ケンタウロス=本能」と決めつけず、どの形や動作がその読みを支えているかを確かめたい。
女性のまっすぐな姿勢とケンタウロスの曲がった身体、衣の細かな模様と獣の毛、落ち着いた顔と苦しげな顔が対になっている。意味の説を知らなくても、この対比は画面から見つけられる。解釈は、観察した違いを言葉にするための一つの道具として使える。
二人を結ぶ中心は、女性が髪をつかむ手である。そこから腕、肩、顔へ視線を移すと、抑える側と抑えられる側の関係が姿勢にまで続いている。物語を先に覚えるより、この接点から画面を読むほうが寓意の根拠を確かめやすい。
制作背景
作品はロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチの古い所蔵品として知られる。《春》と同じく、メディチ家の分家との関係がある。ただし、結婚を祝うための注文だったという説は可能性の一つであり、確定した事実ではない。
支持体は板ではなくキャンバスで、技法はテンペラ。大きさは縦207センチ、横148センチである。二人だけの場面だが、実物は人より大きい。人物の数ではなく、身体の大きさと対面の緊張によって画面を満たしている。
人物名と寓意には複数の説があります
女性像はパラス・アテナまたはカミラと考えられます。理性が野性的本能を抑える寓意や1482年の婚礼注文も、確定した事実ではありません。
寸法
207 × 148 cm
材質・技法
カンヴァスにテンペラ
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
女性像
パラス・アテナまたは女戦士カミラ
旧蔵
ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチ
出典:ウフィツィ美術館 作品ページ2026-09-06 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:サンドロ・ボッティチェリパラスとケンタウロス》/Sandro Botticelli, Pallas and the Centaur, Uffizi. Google Arts & Culture, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-06 確認)
Wikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製とイタリア文化財制度の扱いには法域差があります。
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