1483年頃
37〜38歳頃
マニフィカトの聖母。円形画面の中で聖母マリアが本へ文字を書き、幼いキリストが手に触れ、周囲の天使が冠を掲げる。
マニフィカトの聖母
Madonna del Magnificat (Madonna of the Magnificat) / ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
円形の画面の中で、聖母マリアが幼いキリストに導かれながら本へ文字を書いている。人物たちの腕と身体が丸い縁に沿い、中央の本とザクロへ集まる。まず円の外周を目で一周し、そこから書く手へ視線を戻すと、形のまとまりが見えやすい。
何が描かれているか
マリアは、聖書に記された賛歌「マニフィカト」を本へ書いている。幼いキリストは母の手に触れ、二人でもう一つの本を支える。周囲の天使たちは冠をマリアの頭上へ掲げ、静かな動作の輪を作っている。
キリストの手元にはザクロがある。ウフィツィ美術館は、赤い種が将来の受難を予告すると説明している。受難とは、キリストが捕らえられ、十字架にかけられ、亡くなるまでの苦しみを指す。母子の親しさの中に、未来を示す小さな印が置かれている。
なぜ重要か
この作品はトンド、つまり円形画である。四角い画面の中央を切り抜いただけではなく、腕、冠、衣の線が円に合わせて曲がる。人物が窮屈にならず、一つの輪の中で互いにつながるように計画されている。
ボッティチェリの線の特徴を見るなら、輪郭りんかくだけでなく動作の連続に注目したい。冠を持ち上げる手、文字を書く手、それに触れる幼児の手が順番につながる。視線も同じ中心へ向かい、円形の器の中に読むこと、書くこと、触れることが集められている。
円形では四隅がないため、視線が外へ逃げず、人物の輪へ戻りやすい。全体を眺めた後に、マリアのペン先、本の文字、幼児の指、ザクロの順で細部を追うと、祈りの場面と未来の予告が一つの中心に重なることが分かる。
制作背景
作品は1483年頃のテンペラによる板絵で、直径は118センチである。家庭の祈りの場に置かれた可能性が考えられる種類の絵だが、この作品が最初にどこへ設置されたかは分かっていない。用途を断定せず、円形という形式と画面の設計から考える。
題名は、マリアが書く賛歌の冒頭の言葉に由来する。文字は飾りではなく、誰が何を書いているかを示す作品の中心である。人物の美しさだけでなく、本の位置と手の動きを見ると、題名と場面が直接つながる。
寸法
直径118 cm
材質・技法
板にテンペラ
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
目録
1890 n. 1609
形式
円形画(トンド)
出典:ウフィツィ美術館 作品ページ2026-09-06 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。円外の白地だけを透明化しています。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:サンドロ・ボッティチェリマニフィカトの聖母》/Sandro Botticelli, Madonna of the Magnificat, Uffizi. Google Arts & Culture, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-06 確認)
Wikimedia CommonsのPD-Art複製です。円形作品の外側だけを透明化しています。忠実複製とイタリア文化財制度の扱いには法域差があります。
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