何が描かれているか
旅人が大きな籠を背負い、杖を持って道を進む。履物は不揃いで、傷んだ衣を着ている。足元では犬が吠える。
背後の荒れた家では人々が集い、脇には豚がいる。旅人はそこを振り返りながら、前方の細い門を抜けようとする。人物の曲がった背と上げた脚が円の動きに沿い、振り返りながらも前へ進む一瞬を作る。
作品の見どころ
円形画面の中央に歩く人物を置き、後ろの誘惑と前の不確かな道の間に立たせる。片足を上げた姿が選択の途中を表す。
怪物の多いボス作品と違い、日常的な物が中心である。それでも壊れた家、犬、門が、旅の危うさを静かに示す。籠や履物を奇抜さとして眺めるだけでなく、背後の家から前方の門へ視線を運ぶと、選択の構図が見える。
制作背景
1500年頃の板絵で、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館が1079 (OK)として所蔵する。失われた多翼祭壇画の外翼だった可能性がある。
かつて『放蕩息子』とも呼ばれたが、現在は特定の聖書人物より、人生を進む旅人とする読みが広い。意味は一つに決着していない。題名の変化は解釈の変化でもあるため、旧称だけから聖書物語の一場面だと決めつけない。