何が描かれているか
王ネブカドネザルが裸で四つんばいになり、長い髪とひげを地面へ垂らす。
指先は爪のように伸び、視線は恐怖を感じさせるほど大きく見開かれている。王の身体は画面の左下から右上へ斜めに伸び、曲げた腕と脚が岩の狭い面を埋める。頭だけが鑑賞者の側へ向き、開いた目と口が身体の低い姿勢をさらに強調する。
作品の見どころ
強大な王を動物に近い低い姿勢で描き、権力から転落した状態を一目で伝える。
岩の冷たい色と赤褐色の身体がぶつかり、皮膚の重さを強く感じさせる。髪やひげは地面へ流れ、手足の爪は岩をつかむように広がる。背景をほとんど描かず、筋肉と皮膚へ光を集中させるため、人物の変化から目をそらしにくい。背景の空白が身体の孤立を強める。
制作背景
『旧約聖書』ダニエル書で、誇り高い王が理性を失い野の獣のように暮らす物語を主題とする。
1795年に印刷され、1805年頃に加筆された大型カラー印刷群の一つ。聖書の王を描いていても、歴史的な衣装や都市を再現する絵ではない。王であったことを示す装飾を外し、人間と獣の境目が揺らぐ身体だけで物語の転落を伝える。
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