1478–1480年
ブノワの聖母。若い聖母が幼子に花を見せ、幼子が手を伸ばしている。
ブノワの聖母
The Benois Madonna / エルミタージュ美術館
何が描かれているか
若い母親が、膝の子どもに小さな花を見せている。子どもはそれを掴もうとして、うまくいかない。
エルミタージュ美術館の描写はこうだ。見慣れないものに手を伸ばし、不器用に掴もうとしながら、母がこの新しいおもちゃを取り上げてしまわないよう、自分の小さな手で母の手を押さえている。
母の服と髪型は、15世紀末のフィレンツェの流行に沿っている。顔立ちについて美術館は、特定のモデルから描かれたもので、理想の美しさからは遠いと書く。誰をモデルにしたかは、このページには書かれていない。
なぜ重要か
金の光背が無ければ、若いイタリア女性が息子と遊んでいる風俗画として通ってしまいかねない——美術館自身がそう書いている。それまでの聖母子せいぼし像は正面を向き、祈られるために描かれていた。この絵の二人は、こちらを見ていない。
美術館はこれを画家の初期作とし、その時代にあって前衛的な作品だったとする。「ポーズと身振りの自然さ、光と空気の手ざわり。ここではすべてが生命の錯覚を生み出している」というのが、美術館の言葉である。
制作背景
母が手にしている花について、美術館は花弁が十字の形に並んだタネツケバナだとし、来たるべき磔刑たっけいの象徴だと説明する。マリア自身はそれに気づいていないように見える、とも書いている。植物の同定も象徴の読みも美術館の解釈で、根拠となる研究は示されていない。
通称は、描かれた人でも注文した人でもなく、最後の持ち主から来ている。宮廷建築家レオンティ・ブノワの妻が持っていたので、この呼び名になった。エルミタージュ美術館がこれを取得したのは1914年である。
この美術館は、現存するレオナルドの絵は10点あまりだとし、そのうち2点を自館が持つことを特別な誇りだと書いている。数は館の側の概算で、確定した数字としては示されていない。
寸法
49.5 × 33 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい(板から移し替え)
所蔵
エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク)
目録
ГЭ-2773
出典:エルミタージュ美術館 デジタルコレクション2026-08-29 確認)