何が描かれているか
エルサレム攻略から戻るティトゥスの凱旋行列が、ローマの神殿へ進む。父ウェスパシアヌスが先頭を歩く。
ティトゥスは娘ユリアの手を取り、その後ろに弟ドミティアヌスが続く。遠くには七枝の燭台が運ばれる。
父ウェスパシアヌス、息子ティトゥス、弟ドミティアヌスが階段状に並び、ティトゥスの娘ユリアが二人の男性の間で振り返る。遠景の七枝の燭台はエルサレムからの戦利品を示し、家族の視線と帝国の勝利が重なる。
作品の見どころ
縦長画面の階段状の構図で、家族の序列と帝国の戦利品を下から上へ見せる。
白い衣、花輪、金色の器、大理石を重ね、政治的な勝利を華やかな儀礼へ変える。
行列の華やかさだけでなく、ティトゥス、ユリア、ドミティアヌスの視線を追うと、国家の儀礼の内側に家族の物語が現れる。公的な勝利と私的な関係を同じ階段へ重ねた点が見どころである。
制作背景
1885年制作。古代文献、ティトゥス凱旋門の浮彫、19世紀の研究を参照した。
史実の再現に見えても、人物の視線と配置には家族関係を読むための演出がある。
画家は古代文献、ティトゥス凱旋門の浮彫、19世紀の研究を参照した。ただし一瞬を撮影した史実ではなく、人物の配置と視線には王朝の継承や緊張を読ませる演出がある。後の歴史映画が古代ローマを設計する際にも、この種の大理石の都市像が参照された。