1885年
49歳頃

ティトゥスの凱旋

画家 ローレンス・アルマ=タデマ
The Triumph of Titus: AD 71, The Flavians / ウォルターズ美術館
古代資料を調べ、凱旋行列の政治と家族関係を華麗な縦長画面へ組み立てた。

何が描かれているか

エルサレム攻略から戻るティトゥスの凱旋行列が、ローマの神殿へ進む。父ウェスパシアヌスが先頭を歩く。
ティトゥスは娘ユリアの手を取り、その後ろに弟ドミティアヌスが続く。遠くには七枝の燭台が運ばれる。
父ウェスパシアヌス、息子ティトゥス、弟ドミティアヌスが階段状に並び、ティトゥスの娘ユリアが二人の男性の間で振り返る。遠景の七枝の燭台はエルサレムからの戦利品を示し、家族の視線と帝国の勝利が重なる。

作品の見どころ

縦長画面の階段状の構図こうずで、家族の序列と帝国の戦利品を下から上へ見せる。
白い衣、花輪、金色の器、大理石を重ね、政治的な勝利を華やかな儀礼へ変える。
行列の華やかさだけでなく、ティトゥス、ユリア、ドミティアヌスの視線を追うと、国家の儀礼の内側に家族の物語が現れる。公的な勝利と私的な関係を同じ階段へ重ねた点が見どころである。

制作背景

1885年制作。古代文献、ティトゥス凱旋門の浮彫、19世紀の研究を参照した。
史実の再現に見えても、人物の視線と配置には家族関係を読むための演出がある。
画家は古代文献、ティトゥス凱旋門の浮彫、19世紀の研究を参照した。ただし一瞬を撮影した史実ではなく、人物の配置と視線には王朝の継承や緊張を読ませる演出がある。後の歴史映画が古代ローマを設計する際にも、この種の大理石の都市像が参照された。

作品情報

材質・技法
板に油彩ゆさい
所蔵
ウォルターズ美術館
位置づけ
目録番号 37.31

出典・画像について

画像:Lawrence Alma-Tademaティトゥスの凱旋》/ティトゥスの凱旋 — Lawrence Alma-Tadema / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-13 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

中野京子と読み解く 運命の絵 なぜ、ままならない
中野京子 / 文藝春秋
アルマ=タデマの白い大理石表現を含む名画を、人物の運命と物語から読み解く鑑賞入門です。
楽天ブックスで見る →