何が描かれているか
古代ローマ浴場の微温浴室で、女性が白い毛皮の上へ横たわる。手には羽根と金属製の肌かきを持つ。
小さな画面に肌、毛皮、金属、大理石の異なる材質が集められる。
肌、白い毛皮、金属の肌かき、半透明の羽根、磨かれた大理石が小さな画面に集まる。物語上の事件がない代わりに、温かい空気、柔らかさ、冷たい金属という異なる触感を目で比べることが鑑賞の中心になる。
作品の見どころ
物語の事件ではなく、温度や触感を想像させることが中心である。
女性の体を斜めに置き、奥の暗い空間と手前の明るい肌を対照させる。
羽根と肌かきはどちらも手に触れる物だが、一方は軽く柔らかく、もう一方は硬く冷たい。毛皮、大理石、肌まで含めて材質を比較すると、古代の説明より先に身体感覚が伝わってくる。
制作背景
1881年制作。テピダリウムはローマ浴場の温かい部屋を指す。
考古学的な小道具を使いながら、ヴィクトリア朝の鑑賞者が想像する古代のぜいたくを表した。
テピダリウムは古代ローマ浴場の温かい部屋を指す。アルマ=タデマは考古学的な小道具を用いたが、特定の浴場利用者を記録した絵ではない。ヴィクトリア朝の観客が想像する古代の私生活とぜいたくを、親密な近距離で見せた作品である。