何が描かれているか
ポンペイのスタビア浴場を思わせる室内で、二人の女性が水に入る。奥では別の人々が衣服を脱いでいる。
水面、床、壁まで大理石で囲まれ、赤い花びらが白い空間へ色を加える。
手前の二人が静かに水へ入り、壁の向こうでは別の人々が衣服を脱いでいる。磨かれた石、水面、赤い花びらの差によって、広い公共浴場の中に小さな私的時間が生まれ、見る側も浴室の縁にいるような低い位置へ置かれる。
作品の見どころ
壁の向こうにも人を置いて奥行きを作りつつ、手前の二人は静かな私的時間に見える。
磨かれた石と水の反射を細かく描き、古代建築を目で触れるような質感へ変える。
前景の二人から壁越しの人物へ視線を移すと、公共空間の広さと私的な親密さが共存していると分かる。大理石を冷たい背景にせず、水と肌の柔らかさを際立たせる比較材料にした。
制作背景
1909年制作。舞台はポンペイのスタビア浴場をもとに構成された。
晩年の作品で、古代を大事件ではなく繰り返される日常の習慣として描く。
舞台はポンペイのスタビア浴場をもとに構成された。1909年の晩年作で、古代を皇帝や戦争の大事件ではなく、繰り返される日常の習慣として扱う。遺跡の知識を基礎にしながら、清潔で静かな光景は画家が再構成した理想的な古代生活である。